岸田法務事務所

成年後見制度の申請に必要な手続き

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相続と成年後見制度の申請に必要な手続き

相続と成年後見制度の申請に必要な手続き

2024/09/07

成年後見制度は、認知症や精神的障害を抱える方々の権利を守るための重要な制度です。特に本稿においては、相続に関する問題に直面した場合、この制度がどのように役立つかを解説したいと思います。

相続が発生した際に、認知症等が進んでいるため遺産分割協議を理解できない相続人がいるような場合、成年後見制度を利用することとなります。成年後見制度を利用することで、当該相続人は遺産分割協議を進めることができ、遺産を取得したのちも後見人等が適切に資産を管理することで当該相続人の権利が守られることとなります。

しかし、この制度を利用するためには、家庭裁判所に対して申立の手続きが必要です。本ブログでは、成年後見制度の申請に必要な具体的な手続きについて詳しく説明します。法的な要件や必要書類、手続きの流れを分かりやすく解説し、スムーズに申請を行えるようサポートします。これからこの制度を活用しようと考えている方々にとって、必要となる情報をお届けします。

目次

    成年後見制度の重要性とは?認知症と相続問題の解決策

    相続に関する問題に直面した際、認知症が進んでいる相続人がいる場合は、遺産分割協議が適切に成立しているかどうかが問題となる場合があります。認知症の進行により本人が意思表示できない場合、適切な後見人が必要なのは言うまでもありませんが、その判断が難しい場合もあります。そのような場合は、まず成年後見制度を利用するための診断書を家庭裁判所のHPからダウンロードし、医師に診断書を書いてもらうことから始めるのも一つです。なぜなら、後見制度を利用するためには、どちらにしてもこの医師の診断書が必要となるためです。まずは、医師の診断書を取得し、その内容を踏まえて司法書士や弁護士、社会福祉士や地域の権利擁護サポートセンターに相談するのも一つです。

    申請手続きへの第一歩:相談するにあたって用意するもの

    相続手続きのために成年後見制度を利用する前提として、当該制度をある程度理解する必要があります。

    まず認知症等の進行具合により診断書には、補助人・保佐人・成年後見人のいずれを選任することが適切か(あるいは選任する必要がないと判断される場合もあります)が記載されることとなります。例えば、認知症はそれほど進んでいない状態で補助人を選任するのが適当であるという内容の診断の場合、そもそも後見制度を利用すべきかという問題があります。当該状態の場合は、遺産分割協議自体は可能な場合もあることが想定されるからです。

    しかし、このような状態でも、足腰が不自由であるため、遺産分割協議書作成にあたって印鑑証明書を取得するのが困難な場合や、あきらかに認知症が進んでいくことが明白な場合は、やはり補助人を選任するのが適切な場合も多いです。

    また、そのような類型による判断のほか、誰をその後見人等に選任すべきかも問題となります。相続に必要な手続きを任せるという意味では司法書士等の専門職後見人が適切であるという考えもありますが、一方、遺産が多額の場合などは、専門職後見人が選任されることで発生する報酬が問題となる場合もあります。

    そのような理由から親族後見人を選任することとなった場合でも、結局専門家への手続依頼の報酬がかかることや、親族後見人が選任されたとしても、このような後見人等を監督する専門家が選任されることで、結局、手間もかかるうえ専門家への報酬が発生する可能性もあり、誰を後見人等の候補者にするかはケースにより熟慮する必要があります。

    また、どの後見人等を選任するかは最終的には裁判所の判断となるため、いろいろなケースを想定するためにもやはり専門家へ相談することは重要であると思います。

    成年後見制度の申請準備に必要な書類とは?

    相続のために成年後見制度を利用するためには、申請に必要な書類を準備することが大切です。必要な書類には、まず一般的な資料として、身分証関係では、後見が必要な本人の住所証明書(例えば、住民票)や戸籍、後見人候補者の住民票、財産関係では預貯金通帳や株式等の目論見書、不動産の登記事項証明書などが必要です。その他、年金額がわかる年金額改定通知書や施設の利用料がわかる領収書、要介護度のわかる介護保険証や健康保険証、療育手帳なども用意するといいでしょう。

    次に相続財産目録を作成するために、相続財産がわかる被相続人名義の預貯金通帳や株式等の目論見書、不動産の登記事項証明書も必要となります。また、本人が相続人であることや、法定相続分がわかる戸籍や法定相続情報一覧図なども必要となります。

    必要書類を集めるためには家庭裁判所のHPを確認し、それでも難しい場合は、家庭裁判所や専門家に問い合わせると良いでしょう。

    スムーズな申請を目指す!手続きの流れを詳しく解説

    成年後見制度の申請手続きは、上記のように必要な書類を準備したのちは、本人や本人の四親等内の親族等が申立人となり成年後見人等選任申立書とともに必要書類を管轄の家庭裁判所へ提出します。

    選任に対しての注意点としては、①一度選任されると、後見人等を外すことは困難であること。 ②専門職が後見人等に選任されると報酬が発生する。 ③適切な財産管理のために、柔軟性に乏しいところがあり、例としては配偶者が入院しても、配偶者の資産次第では、本人からの支出とすることが難しく計画していた老後の資産形成のルール等を遂行することが難しくなったり、当初計画していた孫への住宅資金贈与が認められない場合なども出てくる、といった問題が発生することも考慮しなければなりません。

    これは、本件のような相続のために後見制度を利用する場合は顕著で、本人の法定相続分での資産は原則確保する必要があるということを理解する必要があります。例えば、不動産は被後見人等である本人が取得し、預貯金等流動資産は子供に相続させようと考えていても、その資産割合次第では想定通りにいかないこともありえます。

    その他、成年後見等申立の注意点

    以下は、相続に関連する成年後見制度利用からはやや逸脱するケースです。

    補助申立の場合は本人が同意していない場合、申立がそもそも認められないというケースや、その他の類型の申立でも、基本的には本人の推定相続人である親族の同意書の提出が求められますが、親族等が申立に反対し申立自体を取下げざるを得ないケースもありえます。

    その他、一部親族から本人の財産が侵害されそうな窮迫の事態の場合は審判前の保全処分の申立をすることも検討する必要があるケースなどもありえます。

    申立において、親族間でどれほど意思疎通をとるべきか、意思疎通が取れない場合、申立に反対する可能性があるかどうか等も検討する必要があるといえるでしょう。

    なぜなら、後見制度を理解しない親族等がいる場合は、成年後見人等が選任されてから、その親族が本人から金銭を搾取するような事態になれば、訴訟等を提起せざるを得ない場合もあるからです。

     

    話を戻しますが、相続のために成年後見制度を利用する場合は、より親族間でのトラブルにつながる可能性が高いといえるので、申立にあたり必ず専門家とともに手続きを検討すべきであると言えます。

    成年後見制度を活用した相続問題の解決事例

    あるケースでは、相続が発生しているのですが未登記である不動産から悪臭がすると苦情が入り、市長申立により保佐人に選任されたケースがありました。

    選任後、遺産分割協議をし被保佐人名義で登記。遺品整理等をしたのち当該不動産は無事売却。本人(被保佐人)は、病院で入院していましたがその後施設に入るため施設契約をし、現在は施設で暮らされています。

     

    その他にも借金整理のために不動産を売却し返済に充てた事例や、相続財産をひきあてに倒壊しかけている空き家を解体した事例などもあります。

     

    当事務所では、このように後見にかかわる困難事例も取り扱っています。相談は初回無料ですのでぜひご利用ください。

     

     

    当事務所では、同じ相続登記でも戸籍を相続人自身で集めてもらうケースや遺産分割協議書等を相続人自身で作成してもらえるケース などにより料金設定が異なります。

    お客様のニーズに併せ、料金体系も細分化しています。お客様の最善を目指し、サービスをご提案します。

    また、岸和田市、泉大津市、貝塚市、泉佐野市、和泉市、泉南市、阪南市、泉北郡忠岡町、泉南郡(熊取町、田尻町、岬町、堺市、富田林市、河内長野市、大阪狭山市と問わず出張相談もしております。

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