岸田法務事務所

生前贈与が必要な理由とその手続き ─ 不動産相続のケース

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生前贈与が必要な理由

生前贈与が必要な理由とその手続き ─ 不動産相続のケース

2024/06/26

相続対策において、生前贈与という手続きが注目されています。一体、生前贈与が必要な理由とは何でしょうか?本稿では、不動産が遺産相続される予定にある場合における生前贈与の重要性とその手続きについて解説します。

目次

    相続と事前対策の必要性

    相続は、亡くなった方が所有していた不動産や金融資産等の遺産が、他の方に引き継がれることを指します。具体的には、遺言や遺産分割協議によって相続人が決定され、例えば不動産であるならば登記名義人をその相続人にすることによって確定的に引き継がれます。

    しかし、相続人が複数いるため遺産分割協議がまとまらない場合や、一部の相続人と連絡が取れない場合など、トラブルが生じることがあります。そのため、いざ相続が発生する時に備えて適切な手続きをしておくことが重要となります。また、相続が発生すると相続税などの税金も発生するため、事前に対策しておくことにより、相続にかかる負担を軽減することが可能です。相続は一生のうちで一度あるかないかの大きなイベントですので、事前の準備のために専門家のアドバイスを受けることが大切です。

    生前贈与が必要な理由

    相続対策において生前贈与は欠かせない手段の一つです。生前贈与とは、本人が存命中に推定相続人(一般的に相続財産等を承継する人)に対して贈与することで、その特定の財産が相続の対象とならないようにする制度です。

    生前贈与を行うことで、相続人間で財産を分割する場合に、贈与された財産については基本的には遺産分割協議の対象から外されることが保証されます。また、相続税の負担も適切に生前贈与の手続きを行うことで低減されることがあるため、相続税対策にもなります。 また、生前贈与は遺言と同じく即効性があるため、自己の財産管理のためにも有効です。例えば、生前贈与を行うことで、消費者被害を未然に防止することや、認知症対策にもなります。

     しかし、生前贈与は贈与者本人にとってもリスクがあるのでその点も踏まえて行わなければなりません。例えば、不慮の出費として代表的な医療費や介護費などで苦しむことにならないか、十分に検討する必要があります。

    以上のように、生前贈与は相続において欠かせない手段ですが、そのメリット・デメリットを理解した上で慎重に行うことが必要です。また、生前贈与に関する制度や手続きについては、後述するとおり贈与税が最大の問題となりますので必ず専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

    生前贈与の手続きと注意点~相続時精算課税制度について~

    何度も復唱しますが、生前贈与は相続によるトラブル予防の手段として、適切に行った場合は大きなメリットを受けることができます。

    しかし、一方で相続財産が贈与した対象財産しかないような場合は当該贈与が紛争の火種になることがあります。また贈与税を考慮に入れず生前贈与してしますケースにも注意が必要です。

    また生前贈与には、持ち戻しというものがあります。これは、死亡日から3年以内に生前贈与された対象財産も相続財産として税法上扱われるという制度です。これが2024年1月1日以降は、生前贈与の加算が従来通りの3年だけではなく、最大7年まで拡大されることとなりました。本稿では内容まで詳しく触れませんが、相続開始を見込み相当期間前から生前贈与を行っていく必要がでてきたといえます。

     

    その他注意点として、生前贈与をした際、贈与税がかかる場合は贈与税申告も必要となります。多くの場合は、贈与の基礎控除額である110万円を利用し生前贈与を行う場合が多いと思いますが、想定される遺産が多い場合は基礎控除額を超えての贈与を行うことも想定されます。この際、注意が必要なのですがこの110万円という金額は、受贈者側で考えるので何人かから110万円を受け取った場合は贈与税がかかることに注意です。

    また、相続時精算課税制度を利用して生前贈与を行う場合は、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までの間に相続時精算課税選択届出書を提出する必要があります。そもそも相続時精算課税とは何かと問われると、簡単に言うと贈与時の税金額は減らせるが、その分相続時にかかるようにすることができる制度と考えてもらえるとわかりやすいと思います(詳しくは国税庁のHPをご確認ください)。

    この制度の利点は、認知症対策としての不動産の贈与等にも利用できる点や、遺産所有者の意思に基づきより高額な財産を配分できる点が挙げられます。そもそも生前贈与の基礎控除額を超えた場合は、相続税と比較しても高額な税金がかかるため(一般的には相続税の方が少なく済む場合が多い)高額な遺産を分配する制度として生前贈与は利用しにくい側面がありますが、この相続時精算課税制度を利用することにより高額な財産も事前に分配できることは大きなメリットです。

    不動産を相続することが想定される場合の不動産の生前贈与

    不動産は、遺産相続される財産の中でも高額であり、居住の問題もあるため簡単には換価できない側面もある特殊な資産であるといえます。不動産を贈与する場合は、居住権も考慮に入れる必要があるほか、高額であることから基本的には贈与税についても検討する必要があります。

    贈与税について考えるうえで、基礎控除額の範囲で贈与を繰り返すという方法をとる場合もありますが、これは定期贈与とみなされ不動産全体の価格で税金がかかると指摘されるケースもあることから、不動産を毎年贈与するのであれば、専門家の関与は必須といえます。さらに専門家の関与が必要な理由として、不動産評価額に基づき贈与した場合は、基礎控除額を上回る贈与となる場合もあるからです。贈与税の土地の課税価格は、路線価という計算方法によるため、それに基づき計算された金額が評価額を上回る場合は贈与税の課税対象となることも考えられます。専門家の関与なしに不動産の贈与をしようと考える方は、府税事務所へ路線価の計算の仕方を確認することをお勧めします。

    不動産の生前贈与で最も活用しやすい制度が、贈与税の配偶者控除を利用した贈与となります。これは婚姻から20年経過している場合に利用できる制度で、基礎控除額のほか最大2000万円が控除される制度です。

    この制度の最大の利点の一つが、例えば夫の遺産が多く妻の遺産が少ないような場合、生前に配偶者控除を利用した不動産の生前贈与を行うことで、夫の死亡時に発生する相続税を減額ないしはかからないようにすることができる点にあります。勿論、生前贈与の登記の際に、登録免許税という税金がかかるほか、不動産取得税もかかりますが、それでも相続税が抑えられる方がメリットが大きい場合は多いと思います。

    上記のようなケースにあたるのではないかと思われた方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

    税金が関与するケースでは、税理士先生と連携し、アドバイスさせていただきます。

    当事務所では、同じ相続登記でも戸籍を相続人自身で集めてもらうケースや遺産分割協議書等を相続人自身で作成してもらえるケース などにより料金設定が異なります。

    お客様のニーズに併せ、料金体系も細分化しています。お客様の最善を目指し、サービスをご提案します。

    また、岸和田市、泉大津市、貝塚市、泉佐野市、和泉市、泉南市、阪南市、泉北郡忠岡町、泉南郡(熊取町、田尻町、岬町、堺市、富田林市、河内長野市、大阪狭山市と問わず出張相談もしております。

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